三村 梅津選手との出会いは3年前に彼のタイトルマッチを観戦した時からファンになり、先輩の整形外科ドクターから紹介され後援会長を引き受けました。 元日本チャンピオンという経歴もそうですが、僕が特に魅かれたのは年齢的にはプロボクサーとしての峠を越えていながら、若い選手に負けないスタミナ、闘争心を彼が持っていることです。 スポーツが好きな人はいつまでも現役でいたいものですが、30代後半を過ぎると誰でも身体的に不具合が生じます。 それを克服している彼のライフスタイル・トレーニング方法は、僕が日ごろ診させていただいているスポーツ障害の患者さんにもいいお手本になると思っています。 ところで、梅津さんがボクシングを始めたきっかけはどういうものだったのですか? 梅津 スポーツは好きだったので、大学時代に軽い気持ちで始めました。まさかこのようなプロとしての人生を歩むとは思ってもいませんでした。(笑) 三村 日頃のルーチンで行う練習は主にどんなものがありますか? 梅津 持久力や脚力を高めるためのロードワークと、ジムワークです。 三村 試合が近くなった時の練習はどのようなことが中心になりますか? 梅津 実戦に近い練習スパーリングなどがメインです。対戦相手を意識したコンビネーションなどをテーマに行います。 |
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三村 若い頃から比較的激しい競技をしている方は、年齢を重ねても若いイメージのままトレーニングをするため、肉離れ、アキレスけん断裂などのケガをされる方がいます。 今日の本題になるわけですが、年齢を重ねてきた上で練習の内容に変化はありますか? 梅津 私は他の選手達とはちょっと変わっていますが、本格的に始めたのが遅かったので若い頃はそれほど追い込んでトレーニングをしていませんでした。 大手ジムに移籍して30歳で日本チャンピオンになりましたが、その後、何度も挫折を味わって、今現在が一番激しく追い込んでいます。 その結果、歳をとっても気持ちと練習次第で、スタミナも筋力も向上することを日々感じています。 三村 なるほど。30歳を過ぎてから激しく追い込んだトレーニングをしているとのことですが、その中で辛いと思う練習はなんですか? 梅津 毎日のロードワークですね。ランニングやダッシュなどが中心ですが、試合前に減量が関係してくるとハードな走り込みになります。 ジムワークではサンドバックラッシュなどが辛いですね。いずれも持久力が試されるトレーニングです。 ただこういった辛いロードワークや筋力トレーニングなどの毎日の積み重ねがあることによって、歳を取ってなお体力的な向上ができているんだと思います。 三村 歳を重ねることによって起きるトラブルとそのケアについて教えてください。 梅津 歳を取るとケガをしやすくなりますし、疲労の回復度は確実に落ちていきます。 ボクシングは身体を酷使するスポーツですから、ケガは付きものです。死と隣り合わせのスポーツなので、トレーニング中であっても気を抜くことはできません。 また疲労を確実に回復させるためには栄養バランスのとれた食事は欠かせないですね。3度の食事とも毎食、栄養フルコース型を意識しています。高タンパク質、高ビタミンミネラル、乳製品、炭水化物(減量中は少なめ、特に夜)といったところに気をつけています。 また、質の良い睡眠も大事です。枕や布団などの自分の身体にあった寝具にこだわって使用しています。 回復力は落ちていますが、37歳を超えても身体のケアに気をつけて万全に仕上げた時のパフォーマンスはまだまだ伸びます。 心肺能力の維持も簡単ではありませんが、この歳で大きな故障もなく最前線で闘えるのは持って生まれた身体の頑丈さもあると思います。 三村 30代後半から40歳代のひとがトレーニングを行っていく上で重要なことはどんなことだと思いますか? 梅津 個人差があると思いますので一般論ではわかりませんが、私が大事にしているのは20歳代の時よりも入念に準備運動をすることですね。 ストレッチポールや青竹などのアイテムも使って、体幹トレーニングや柔軟性を高める運動をします。 また、アップも大事ですが、トレーニング後のクールダウンも入念に行います。拳など酷使した部位は練習後すぐにアイシングして回復を助けています。 三村 今日はありがとうございました。 最後に37歳を迎えた今、これからの目標について教えてください。 梅津 必ず日本チャンピオンに返り咲き、「間違えて」世界チャンピオンになります!! (笑) (対談 2014年新春 三村整形外科診察室にて) |
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